参照リンク:著作権法の一部を改正する法律(令和5年改正)について:文化庁著作権課(p14,15,58-62)
昨日ブログ記事で、改正著作権法第114条全文を提示していますが、本日は、著作権法改正の経緯や、法律内容について、上記文化庁著作権課の解説を引用提示して、広く著作権法の理解が深まる情報を公開します。
上記参照リンク先:p14-15抜粋
② ライセンス料相当額の認定に当たっての考慮要素の明確化
法第 114 条第3項は、 著作権等の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(ラ
イセンス料相当額)を損害賠償額として請求できるとする。
著作権侵害があった場合におけるライセンス料は、権利者にとっては利用を許諾す
るかどうかの判断機会が失われていることや、侵害者はライセンス契約上の様々な制
約なく著作物を利用していること等から、通常の契約によるライセンス料より高額と
なることが想定される。第3項の文言上も、制定当初「通常受けるべき金銭の額」と規
定されていたところ、平成12年の著作権法改正の際、一般的な相場にとらわれること
なく訴訟当事者間の具体的事情を考慮した妥当なライセンス料相当額を認定できるこ
とを明確にするため、「通常受けるべき金銭の額」の「通常」の文言が削除されている
という経緯がある。しかし、実際の裁判例においては、この改正によって訴訟当事者間
の具体的事情が十分に斟酌されたライセンス料相当額が認定されるようになったか否
か判然としない状況にあるとの指摘があった。
この点、同じ知的財産法体系下にある特許法では、 ライセンス料相当額による損害
賠償額の算定に当たり、侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう
額を考慮できる旨を明記する改正が令和元年に成立している。著作権法も特許法と同
様に、 侵害を前提とした具体的な事情が考慮できることを条文上明確にすることで、
現状より法第 114 条第3項において損害額として認定されるライセンス料相当額が増
額され得るという効果が期待できるため、著作権法においても同様の改正を行った。
具体的には、 新法第114条に第5項を設け、 法第114条第1項第2号及び第3項に規
定する著作権等の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額の認定に当たって、著
作権者等が、著作権等の侵害があったことを前提として侵害者との間でこれらの権利
の行使の対価について合意をするとしたならば、当該著作権者等が得ることとなる対
価を考慮することができることを明記した。
上記参照リンク先:P60-61抜粋
(2)ライセンス相当額の認定に当たっての考慮要素の明確化(新法第 114条第5項)
(損害の額の推定等)
第百十四条 (略)
2~4 (略)
5 裁判所は、 第一項第二号及び第三項に規定する著作権、出版権又は著作隣接権の行使
につき受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、 著作権者等が、 自
己の著作権、出版権又は著作隣接権の侵害があつたことを前提として当該著作権、出版
権又は著作隣接権を侵害した者との間でこれらの権利の行使の対価について合意をする
としたならば、当該著作権者等が得ることとなるその対価を考慮することができる。
本項では、「第一項第二号及び第三項に規定する著作権、出版権又は著作隣接権の行使
につき受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては」と規定しており、新法
第114 条第1項第2号と、 同条第3項のいずれの規定によるライセンス料相当額の認定に当たっても、第5項が適用されることとなる。
条文解説
本項は、 損害賠償額としてのライセンス料相当額の算定において、 通常のライセンス
契約により得られるライセンス料と比較して高額となる事情があることを法律上明記する
ものである。かかる事情としては、次のようなものが考えられる。
・ 侵害者が権利者の許諾なく著作物を利用しており、権利者にとっては利用を許諾する
かどうかの判断機会が失われていること。
・ 通常、ライセンス契約を締結するに当たっては、契約解除事由の制限や、利用方法 の
制限など、 様々な契約上の制限を受けることがあり得るが、 侵害者はこうした制約なく
利用していること。
・ 契約による通常のライセンスの場合、ライセンシーの企画や校正、販売促進等の貢献
度を踏まえて料率が決まるが、侵害者には貢献度合いがないこと。
・ 侵害があった場合はその状況確認や調査、弁護士による個別示談交渉等のコストが発
生すること。
2025年11月8日ブログ記事「国(内閣府沖縄総合事務局)及び伊是名村を国賠提訴!」をはじめ、著作権者削除や写真改変を伴う場合、原則・刑事事件を最優先し、刑事事件確定後に、【写真貸し出し料金表】【写真貸し出し使用規定】基本料金×表示箇所で積算した、上記令和5年改正著作権法第114条3乃至6項を根拠としたペナルティ加算(表示箇所数)の損害賠償請求を実施しています。
知的財産権を専門としていない弁護士(特に地方)では、上記改正著作権法を知らない方もいて、上記改正法律根拠を説明すると、示談になる確率が高くなります。
この改正著作権法に基づいて、漫画村賠償事件・東京地方裁判所民事第47部・令和6年4月18日判決【知財令和4(ワ)18776】KADOKAWA,集英社,小学館へ17億4000万円余の賠償認容判例となっており、今後も、ペナルティ加算された賠償額認容の判決が見込まれます。












