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インラインリンクと違法リンク・図解説
2023年2月18日新規up

  昨今、複製蔵置を伴わない「インラインリンク(図1)」と、違法複製蔵置を伴う「違法リンク(図2)」を混同して、権利侵害の境目の判断に迷われている皆様向け解説図を作成しました。

 著作権法(以下、単に「法」という。)は、法第2条1項9の5で、送信可能化について、以下の通り定義されいます。
送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。

ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。

イ行為を要約すると、サーバに複製蔵置(アップロード)する、公開前の前段階作業となります。

ロ行為を要約すると、イ行為で複製蔵置された画像を指定して、html文章をアップロードする、公開後段作業となります。
 これらの定義を理解することが、『「公衆送信権など(法第23条)」著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。』の理解に欠かせない知識となります。

インラインリンクと違法リンク・図解説

利用イラストⒸいらすとや https://www.irasutoya.com 

  図 1・解 説
上段:オリジナルサイト発信者が著作したhtml文章ファイル及び画像ファイルが、オリジナルサイトのサーバにアップロード(法第2条1項9の5・イ行為及びロ行為)蔵置公開され、インターネットにてオリジナルサイト閲覧者向けへ、文章及び画像ファイルが送信されます。

下段:インラインリンクサイト発信者は、オリジナルサイト画像ファイルのURLを指定したhtml文章ファイルを、インラインリンクサーバへアップロード(法第2条1項9の5・ロ行為)蔵置公開され、インターネットにてインラインリンクサイト閲覧者向けへ、文章ファイルのみが送信され、画像ファイルは、オリジナルサイトの画像ファイルが新たに複製蔵置を伴わない態様で直接送信されます。

 図1の場合、新たな複製・アップロード(法第2条1項9の5・イ行為)蔵置が存在しないため、著作権法23条規定の「公衆送信など」の権利侵害に該当しない旨、多数の判例が存在します。 しかし、htmlやCSS(カスケード・スタイルシート)などで、画像ファイルの著作権者情報(氏名表示)や画像の同一性を阻害する形態で公開した場合など、著作者人格権侵害を伴う公開では、リツイート事件判例が指摘する権利侵害となります。

  図 2・解 説
上段:オリジナルサイト発信者が著作したhtml文章ファイル及び画像ファイルが、オリジナルサーバにアップロード(法第2条1項9の5・イ行為及びロ行為)蔵置公開され、インターネットにてオリジナルサイト閲覧者向けへ、文章及び画像ファイルが送信されます。

下段:違法リンクサイト発信者は、オリジナルサイト蔵置サーバやhtml文章ファイル蔵置サーバとは異なる、別の画像ファイル蔵置サーバへ、オリジナルサイト画像ファイルを違法複製・アップロード(法第2条1項9の5・イ行為)蔵置公開し、更に違法画像ファイルURLを指定したhtml文章ファイルを、違法リンクサーバへアップロード(法第2条1項9の5・ロ行為)蔵置公開し、インターネットにて違法リンクサイト閲覧者向けへ、文章ファイルや画像ファイルが、オリジナルサイトとは異なる違法蔵置サーバーから公衆送信されています。

 図2の場合、新たな違法複製・アップロード(法第2条1項9の5・イ行為)蔵置公開及び、html文章ファイルアップロード(法第2条1項9の5・ロ行為)蔵置公開が成されており、著作権法23条規定の「公衆送信など」の権利侵害に該当します。

  違法画像ファイル蔵置と、htmlファイル蔵置が、異なるサーバにアップロード公開されていますが、同一人の場合は勿論、複数人が関与していた場合も違法となります。
   私が被害に遭った判例では、著作権者名をトリミング消除した状態で写真画像共有サイトへアップロードされ、他のブログサイトへ違法リンク掲載されていました。双方のプロバイダへ開示請求を実施して発信者を特定、約40万円の裁判賠償額でした。

 リツイート事件最高裁判例では、5頁下段にて『本件においては,本件リンク画像表示データの流通によって被上告人の権利が侵害されたものということができ,本件各リツイート者は,「侵害情報」である本件リンク画像表示データを特定電気通信設備の記録媒体に記録した者ということができる。』と判示されており、正に上記図2下段の違法複製画像ファイルを取り込み表示させる為のHTMLファイル(侵害情報)をアップロードした(法2条1項9の5・ロ行為)者、即ちリツイート者の違法が判示されました。

参照リンク:リンクと送信可能化行為, パテント 71(8), 60-72, 2018-07.|デライブ知的財産事務所弁理士野口明生
参照リンク:今後変わる? リンクについての著作権法上の考え方 岡本健太郎|コラム | 骨董通り法律事務所 For the Arts

オリジナルサイトのサーバーに負荷を掛けるインラインリンクは、
隠しファイル「.htaccess」設定にて、防止する事が可能です。
当サイトも、インラインリンク(画像直リンク取り込み)の防止措置を講じており、
其のようなサイトでは、代替の「警告画像」が表示されています。
設定の詳細は、
ホームページ作成・HTML・CGI・編集ヒント|写真家縄田頼信プライベートサイト」をご参照ください。

 
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