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洞窟からの採石運び出し
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採石場は、猪が出没する落葉樹林の奥山深くにある。
過去の採掘状況から地層の予測を行い土砂を取り除き、
杭を側面や天井に張り巡らしながら、カンテラ(カーバ
イドに水を落とし、ガスを発生させ燃焼する器具)の灯
りを頼りに手掘りで坑道を作る。
採掘権は、代々この集落地域に住んでいる職人に与え
られているもので、一般人には無い。
硯に適した原石は、厚さ1m程度の層を成しているた
め、その層に沿って約15度の斜坑を掘り進めている。
入り口から約20~40mの地点で採石するが、毎日水
中ポンプによる排水作業から始まる。岩盤によっては、
黒色火薬を用いた発破も行う。硯職人は、危険物取扱い
有資格者でもある。
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原石の流れを読み取り、肉眼では見えない目に沿ってノミを当て、ハンマーで一撃するとスパーンと割れる。
長年水に浸かっていた原石は木目と異なり、肉眼では確認出来ず、長年の職人の経験と勘が物をいう。
石の見極めが出来なければ、乾燥した後にひび割れ発生の要因ともなる、大事な作業。
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赤間原石の石割作業
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赤間原石のはつり作業
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石割された原石は、大まかな板状ではあるが、形状は様々である。
これらの石を、硯本体、蓋、と部位や大きさを考慮しながら、更に、乾燥後もひび割れが発生しない様に
石目を確認しながら、小さな刄金で斜めにはつって、形状を整える。
採石された石は筵を掛けられ、一定の湿度が確保された暗所に数ヶ月間寝かされ、硯への準備が始まる。 |
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その昔は、このように刄金による人力で石を直線に裁断していた。
即ち、硯職人は鍛冶屋でもあり、自ら鋼を焼きいれ打ち込み、目立て作業をこなしていた。
現在では水をかけながら、ダイヤモンド刃回転による裁断が行われている。 |
蓋付き硯の蓋部分を裁断作業
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大ノミで硯周囲をあら削り作業
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ノミを胸に当て、上体を前に押し出す力で、石を削る。古来より硯職人の胸には、ノミによるタコが出来ている。
現在では、コンプレッサーが導入され、空気圧による凄まじい速さと音で削られている。 |
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硯の墨を磨る部分を陸(おか)または、揚げ(あげ)と呼び、墨が溜まる部分を海(うみ)と呼ぶ。海と丘を繋ぐ波止(はと)部分の滑らかな曲線が、硯製作
で一番難しいと言っていた。
丸ノミ一つでもカーブ度合いの違いにより、何本も使い分ける作業である。 |
蓋付き硯の内部を中ノミで削る作業
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硯のみ
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古端溪硯の模様修復彫刻作業
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赤間硯の職人でありながら、彫刻の腕を見込まれて、古端渓硯の模様修復作業を依頼され、行っていた。
最終的には、日展や国展の先生方に納品されると言われた古端溪硯は、一個・100万円相当もするとのこと。 |
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彫り終った赤間硯は、荒い砥石、黄色の軟らかい石、水ペーパーによる3段階の磨き工程が行われる。
蓋付きを含めた細工彫刻物は、全て手仕事による磨き作業となる。夏場は良いが、冬場は寒くてつらいお手伝いとなる。
仲卸問屋へは、この磨き工程終了で納品となるが、自家販売では更に漆または代用漆(カシュー)による艶出し塗布磨きが行われる。そして海や丘の部分の生地抜きを経て、最終的に桐箱に収まり製品となる。 |
赤間硯の磨き工程作業
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