疑似オーロラと低緯度オーロラ
疑似と低緯度オーロラ
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 前頁の写真は、日没1時間30分後から意図的にオーロラが出ているように撮影した。本来、この
写真のように西方向にオーロラは発生しないが、日出前2時間半、日没後2時間半以内は、(私の撮
影データで検証済み)それぞれ太陽の影響(天文薄明かり)を受ける。たとえ肉眼で確認出来なくて
も、天文薄明かりの影響でフィルム上にさもオーロラが写っているように感光し、真北方向でもオー
ロラ風写真(擬似オーロラ)が撮影される。特に2002年は、黄砂の影響で空が赤くなりやすく、街
明かりでも同様の現象が生ずるので注意が要る。

 天文薄明かりの時間帯は、例え本物のオーロラが発生していたとしても、オーロラの光による露光
か、天文薄明かりの露光か、区別するのは素人目には難しい。2002年、H新聞・Y新聞等で北海道
のオーロラ写真として、誤ったニュース写真が掲載された。一見しただけで太陽の影響を受けた写真
と私は判断出来たが、オーロラの基礎知識の乏しい方は、新聞社も含め誤認されているようだ。黄道
光(日没後薄明かりが消えうせた後、西天の地平線近くから、また、日の出前の薄明かりの始まる前、
東天の地平線近くから、いずれも黄道面に沿って見える淡い光帯。…広辞苑による引用)を、オーロ
ラ写真として発表した新聞もあった。

 この写真のように地平線から仰角数度以内にも色が出て、かつオーロラベルト方向(真北)でない
のにオーロラ発生とは不自然で、勘違いしないように注意を促したい。衛星情報でオーロラ活動状況
なども参照すると、誤りであるのが容易に判断できる。北海道からオーロラベルト(真北方向)に発
生する低緯度オーロラ撮影は相当に困難を伴い、この写真程度に赤いレベルには滅多にお目にかかれ
ない。
 

 北海道では晴れ渡っていれば、日の出2時間30分位前から赤色が空に影響する。肉眼では2時間
位前から、東の空や地平線ラインから明るみが増してきて視認できる。日の出1時間10分前頃〜同
50分前頃まで、地平線360度に渡りピンク色に染まった朝焼けの帯が発生する。この時点では東
の空はさほど色を帯びていない。日の出50分前頃から徐々に東の空は赤・ピンク色を帯びだし、日
の出30分〜20分前頃に朝焼けのピークを迎える。この時点で薄い雲が高層にあれば、雲の下が朝
焼けに染まる。

 
 
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